看護師を目指そうかな?
でも、仕事内容がキツかったり、汚いものに触れることもあると聞いてる。
自分に務まるかどうか不安に思っている方もいると思います。
看護師のお仕事のイメージの一つは注射や点滴などではないかなと思います。
一時期テレビドラマなどで看護師がクローズアップされたものが放送されていたりして看護師の仕事に興味を持った方もいるかもしれません。
患者さんとの心温まるエピソードや、命と向き合う場面など、白衣の天使と言われるようなお仕事内容が紹介されています。
もちろんそういったお仕事も看護師の大切なお仕事の一つではあります。
しかしながら実際の看護師の仕事というのは決してきれいごとでは片づけられない、きつい仕事もたくさんあるのです。
今回は看護師の仕事に興味を持たれている方に向けて、汚い仕事、きつい仕事も含めてお仕事の現実をお伝えしたいとおもいます。
また、比較的汚い仕事が少ない科や施設なども紹介します!
目次
看護師の仕事はなぜ汚い、きついと言われる?
看護師の仕事に対して、汚くてきついというイメージの方もたくさんいらっしゃるでしょう。
汚いというイメージは主におむつの交換やトイレでの介助などからきているものだと思います。
トイレだけではなく、お風呂や着替え、食事も含め、私たちがなんの不自由もなく、意識せずとも毎日やっている当たり前のこと全てにおいて、介助が必要なことはサポートします。
特に排泄物というのは汚いというイメージがかなり強く、それらの処理となると抵抗があるという方がいるのも事実だと思います。
さらには、そういった仕事というのは、非日常的で経験したことがないという方がほとんどなので、よりとっつきにくく、汚くてきついという風なイメージに繋がるのだと思います。
看護師の仕事で、実際にきついと感じる仕事内容とは?
看護師の仕事内容の中で、実際にこれはきついなと感じることは多々あります。
その中でも特に上位に挙がってくるものをいくつか紹介します。
①患者さんの移送
私が勤めていたのは、24時間救急の患者さんが運ばれてくるような病院で、規模もかなり大きく、地域の拠点病院とされているようなところでした。
緊急で手術をする方、意識がない方、自力での歩行が困難な方もたくさんおられました。
このような患者さんを、トイレや検査、食事の準備など必要に応じて移動しなくてはいけない場合にとても労力が必要になります。
自分よりも体格が大きく、体重がある方を移動させなくてはいけないことも頻繁にあります。
看護師として仕事を始めるまでに、学校では最小限の力で患者さんにも介助する看護師にとっても負担の少ない方法を学びますが、移送する人数の多さや、頻繁な移送にどうしても体がもたなくなることもあります。
看護師の職業病の一つに腰痛が挙げられるのはこのためです。
②看取り時の家族への対応
医療の現場は命にかかわる現場です。
ドラマのように、毎度毎度奇跡が起こるわけもありません。
当然ですが、患者さんの看取りの現場に立ち会うこともあります。
大切な家族との別れの現場に立ち会うというのは、何度経験しても慣れるものではありません。
家族との最期の時間を大切にしてあげたい気持ちと、淡々と手続きを進めていかなくてはならない気持ちとの間でいろいろな葛藤があります。
看護師にとっても、これまでかかわってきた患者さんとの別れは、つらいものがありますし、受け持ちの患者さんなどでかかわりが深ければ悲しみも深くなります。
どれだけ手を尽くしても、助からない命もあるのです。
そういった喪失感を感じる場面も多く、精神面できついと感じることも多いです。
③不規則な勤務形態
入院施設のある病院では、夜勤業務があります。
病院によって形態はさまざまで、日勤、準夜勤、夜勤のほかに、早出や遅出といった勤務形態があるところもあります。
シフトによって、出勤時間が様々なため、生活リズムが乱れやすくなります。
平日の休みがあるというメリットもありますが、規則正しい生活とは程遠いので体に不調が出やすい可能性もあります。
現役看護師さんに聞きたい!どうして汚い仕事でも続けられるの?
確かに、排泄物はきれいなものではありません。
さらには、汚いとされるものは排泄物だけではありません。
感染という意味では血液もそうですし、嘔吐物や、傷口から出た浸出液と呼ばれるようなものなど、いたるところに感染源は存在します。
そういった環境でどうして仕事が続けられるかというと、仕事と割り切っているからと言ってしまえばそれまでですが、もっと明確な理由があります。
一般の方にとってはただただ汚いだけの排泄物かもしれませんが、看護師にとっては、患者さんの健康状態を知るための大切な情報源です。
オムツを交換したり、トイレの介助をしながらでも、そういった排泄物の状態の観察はとても大事な仕事の一つです。
そこから、ケアの方法や治療の方法を変えていくといったことも珍しいことではありません。
そのような目で見ているので、汚いものという感覚がそこまでないということも理由の一つだとおもいます。
さらには、看護師の仕事は当然ですが排泄物の処理だけではありません。
冒頭でお伝えしたとおり、点滴や注射を始め、食事の世話やお風呂の介助、検査があれば検査室までの移送、その他、患者さんや家族からの訴えや要望の対応などたくさんあります。
排泄物の処理という仕事は、汚いというイメージから取り上げられやすい仕事内容ですが、1日の仕事内容の中ではほんの一部に過ぎないのです。
配属されている科や受け持つ患者さんの状態によって仕事の内容は左右されるので一概に言えませんが、私が経験してきた限りでは、そこまで苦にはならないという程度です。
看護師として汚い仕事がない科を選んで働くことはできる?
理屈ではわかっていても、どうしても苦手だという方もいるでしょう。
そんな人は看護師として働けないのかというとそんなことはありません。
汚い仕事というのが排泄物の処理、という意味では、そういった仕事のない環境で看護師として働くことは可能です。
そういった働き方を考えた場合、大きく分けて2通りの方法があります。
- 施設を選ぶということ
- 担当科を選ぶということです。
そもそも看護師というと、入院できる設備のある大きな病院で働いているイメージが強いかと思いますが、実はもっとたくさんの施設があるのです。
看護師が実際働いている施設とその仕事内容について簡単に説明していきますね。
汚い作業のない施設はズバリどこ?施設別の仕事内容の解説
①入院設備のある病院
みなさんがイメージしやすいのはこの施設ですね。
誰かのお見舞いに行ったり、よくドラマなどで見かけるシーンもこの施設でのものが多いでしょう。
入院の設備があるということは、そこで生活される方がいるということなので、多かれ少なかれ排泄物の処理の仕事はあります。
しかし、科によって特色が大きく違ってくるところもあるので担当科によってはほとんどないところもあります。
また、病院によっては介護士さんを多く雇っておられるようなところもあります。
介護士さんがオムツの交換や排泄の介助などに主に入るという形になっているので、看護師が処理する機会はかなり少なくなるでしょう。
入院設備のある病院で、勤務を考えている方は、介護士さんがいるかどうかも確認しておくと良いと思います。
②クリニック勤務
クリニックとは入院設備のない病院のことで、いわゆる町のお医者さんです。
何か体に不調があった時、一番始めに向かう病院ですね。
ここでの看護師の仕事内容は、医師の診察に対する介助がメインになってくるので、排泄物の処理というのは一切ありません。
しかし、クリニックに勤務するにあたり、病院での勤務経験がある人というのを条件に入れているところもあるので、新卒ですぐにクリニックで働けるかどうかは職場次第になってくる可能性はあります。
③デイサービス施設
この施設は、日常生活は自宅で過ごしているけれど、リハビリや気分転換などを兼ねて通いに来るというような施設です。
施設によりますがおおよそ半日程度過ごされます。
イメージとしては、女子会みたいな感じでしょうか。
もちろん男性もおられるのですが、ランチを食べにお出かけして夕方帰るという感じです。
ですのでこちらの施設では患者さんという言い方ではなく利用者さんという言い方をします。
ご自宅で生活されている方がメインなのでトイレも自立されている方が多くほとんど介助は必要ありません。
しかし、施設によっては、入浴のサービスがあるところもあるので、そのような介助が必要な場合もあります。
結論として、排泄物の処理の頻度については
クリニック < デイサービス施設 < 病院
という形になります。
汚い仕事を避けるためにオススメの科とは?
一つの病院にたくさんの科がある場合、就職するときに希望の科を伝えることができます。
その時にどのような科を選べば、比較的汚い仕事が少ないのかということについてお伝えしていこうと思います。
①耳鼻科
耳鼻科に受診される方の多くは、患者さん自身で病院に来られるという方がほとんどです。
入院が必要となった場合でも、自身で身の回りのことができる方が多く、ほかの科に比べ排泄物の処理は少ない傾向があります。
②眼科
こちらも、耳鼻科同様自立した患者さんが多く、日常の世話というのはあまりありません。
眼科に異動になった私の同僚が、仕事をしていて一番汚いものといえば、めやにくらいだわ、と言っていたのが印象的です。
それほど、排泄物とにかかわる仕事はないということですね。
③口腔外科
お口の中の専門の科ですが歯医者さんというイメージとは少し違う部分もあります。
こちらも自身で診察に来られる方もたくさんおられるとは思いますが、実は寝たきりの方が対象になることもあります。
意識のない方や、口から食事がとれない方などは、唾液の分泌が少なくなりお口の中のトラブルを起こしやすい状況になります。
そういった方の診察を行うことも多々あります。
往診のような形で、別の科に入院している患者さんのところへ診察しに行く医師の介助というお仕事があります。
そういう方でも、別の科の担当看護師が身の回りの世話を担当しているため、口腔外科の看護師がおむつ交換などを行うということはありません。
看護師として働くには、どういう仕事がしたいのかを明確に持つことが大切!
先ほどからお伝えしている通り、看護師という仕事はきれいごとではすまされない、きつくて汚いとされる仕事がたくさんあります。
看護師を目指される動機は様々だと思いますが、しっかりとした思いがないとなかなか続けることは難しいと思います。
例えば、担当科を希望するときの理由に、汚い仕事があまりないと聞いたので、では通用しません。
看護師として実際に働くまでには、実習として学生のころから患者さんとかかわり、その際にはもちろん排泄物の処理もあります。
1年目の頃は、一人でできる医療行為も少なく、主な仕事がおむつ交換というのもよくある話です。
しかし、それ以上にやりがいのある仕事であることは変わりがありません。
命の現場で働くことで得られる経験はとても大きく、物事の考え方が大きく変わる出来事に出会えることもたくさんあります。
簡単な気持ちでこの仕事がおすすめ!とは言えませんが、少なくとも私自身は看護師として働いてよかったと思っています。
すべての患者さんを笑顔にしたい!ほどのスケールの大きな思いが必要だとは言いませんが、医療職に携わる以上、最低限の覚悟をもって臨んでほしいと思います。