お盆の季節に家族が集って先祖をお迎えする送り火。
毎年必ず行っていたものの子供の成長や環境の変化で時間が取れず、迎え火や送り火が出来なくなってきている家庭もあるのではないでしょうか?
とはいえ、しっかり行わないのも大切な先祖に対して申し訳ないと思う気持ちもありますよね。
今回は現代の状況に合わせ簡潔にお盆の迎え火や送り火を行う方法ややむを得ず出来ない場合のお話をさせていただきます。
目次
お盆の迎え火や送り火ができない場合は?
昨今では仕事の多様化等により、お盆の時期に迎え火や送り火ができない家庭も多く見られます。
お盆の時期に親戚が集まることが無いのであれば、やり方にこだわる必要はありません。
迎え火、送り火が夕方の時間帯に行うものと言われていても、これは季節の行事的なもので、一般的なやり方から逸れたからといってバチが当たるようなものではありませんので、出来るときにお迎えをすれば良いのです。
親戚が集まるのであれば、親戚の予定に合わせたり、代々伝わる家庭でのやり方を変えるのは難しいでしょう。
自分たちにとって大事な先祖の霊をお迎えするのですから、お迎えは早い方が喜ぶでしょうし、お見送りするのは名残惜しいので、少し遅めでも構わないものだ、と私の亡くなった祖母はよく言っていました。
ですから、例えば時間の都合が合わない場合、迎えの日にちを少し前倒したり、逆に送りの日が少し遅くなっても、悪いことではないのです。
夕食後に行っている家庭もあります。
実際に我が家も、夕食後に提灯を持って角迎え、角送りをするのですが、その際に迎え火、送り火を行なっています。
やはりここで一番大切なのは、時間ではなく故人やご先祖様を思う気持ちです。
先祖が帰る場所は他でもなくあなたの心の中です。
それ故に、場所だって迷惑がかからない場所であれば自宅に限定しなくても良いのです。
心を込めて先祖の霊を想う事が一番の供養です。
迎え火と送り火の代用は?
一般的に迎え火や送り火は、家の門口や玄関先にて、焙烙(素焼きのお皿)の上で、オガラを焚いて手を合わせ、先祖の霊を迎えますよね。
先祖の霊は燃やしたオガラの煙に乗り、家へ戻ってくると言われているんです。
ですが、迎え火や送り火をゆっくりする事が出来ない場合は自宅で線香をあげるだけでも問題ありません。
また場所においても、玄関先やベランダ、部屋の中でも構わないのです。
それは先祖はお迎えの方法を選んで帰宅するわけではないからです。
先祖の霊もみんな大切な家族の元に帰ってきたいと想ってくれているはずです。
火をたくことが出来ないけれど、ご先祖が帰る場所を迷わないように目印はつけておきたいなと思うのであれば盆提灯を下げておくといったことでも良いと思います。
実際に私の知り合いにも特になにもせず盆提灯だけをを灯してお盆を過ごす方がいます。
あとは仏壇があればお線香をあげれば十分なお迎えになります。
また火を炊かずに盆提灯にてもう少ししっかりとお迎えをしたい方は次のように迎え火、送り火をします。
〈迎え火〉
・盆提灯を灯して手に持って玄関先に立ちます。
・一礼して黙祷。
・先祖の霊をお迎えする気持ちで、再び、一礼して黙祷してから盆提灯の明かりを消します。
〈送り火〉
・盆提灯を灯して手に持って玄関先に立ちます。
・先祖の霊をお見送りする気持ちで一礼して黙祷してから、盆提灯の明かりを消します。
方法が違うから帰らない等ということはないのですから、最低限できることで、その気持ちだけで十分なのです。
もし気にかかるようであれば、可能な限りで別の日にでも仕事帰り、お出かけの際にお墓に立ち寄ってお参りするだけでも良いのではないでしょうか。
きっと喜んでくれると思いますよ。
お盆の迎え火や送り火をしないのはダメなの?
できれば迎え火や送り火はしたいけど、なかなか出来そうにない。。。
そういう方もいるでしょう。
お盆に迎え火をしなかった場合何か問題はあるのでしょうか。
基本的にはこういったお盆行事は生きている人が納得できる範囲内で行えればそれで良いと考えましょう。
暮らし方、生活が多様化する現代においては、お盆の迎え火、送り火をしないという選択もあります。
もちろん、送り火や迎え火をしないからといって、ご先祖様の怒りに触れたり、災いが起こるというようなことはありません。
最近の住宅事情や時代の流れなどで、お盆に迎え火や送り火を行わない家庭や地域も着実に増えているのです。
こうしたほうがいい、こうすべきだ、といった答えはないのです。
自分が納得できるようにお盆の準備を進めていきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
迎え火と送り火ができないときの対処方法や、代用方法についてご紹介しました。
・送り火や迎え火は夕方に行うとされているが、地域や各家庭の事情などでかなりばらつきがあるのでひとつの形にこだわる必要は無い。
・時間や日にちの都合が、どうしても難しい場合には午前中や別の日でも問題ない。また時間がなければ火を焚く時間も短めに終わらせて問題はない。
・焙烙などが用意できない場合、自宅で線香をあげるだけでも構わない。そもそも迎え火、送り火を行わない家庭も増えている。
・形は様々あれど一番は先祖や故人を思う気持ちが大切。
やはり大切なのは、時間ではなく故人やご先祖様を思う気持ちです。
先祖が帰る場所は他でもなく自らの心の中であることを忘れてはいけません。
自分がされたら嬉しいことを相手へ施すこと。
これは生きる者にも、亡くなった者にも共通することだと思います。
出来る範囲で心をこめて先祖の霊をお迎えしましょう。