車中泊をしながら各地を回って旅をする方が増えていますね。車中泊は旅を始めとし、様々なシチュエーションで行われるかと思います。
この車中泊。車で就寝する事がメインとなると思いますが、実はかなりのリスクがあるのです。もちろん安全に行えば楽しいものとなるのですが、しっかりとリスクを知って対策をしないと取り返しのつかない事態にもなりかねません。
この記事では車中泊の危険性について詳しく解説したいと思います。
目次
車中泊の危険性は認識しておくべき!最悪、死に関わることも
代表的な車中泊のリスクは2つあります。
・一酸化炭素中毒
・エコノミー症候群
この2つはニュースなどでもよく耳にするのではないでしょうか?これらは最悪の場合、命に関わるということもありますので、しっかり認識して対策方法を知っておく必要があります。
一酸化炭素中毒の危険性
一酸化炭素中毒とはガス機器などを正しく使用しない場合、酸素が不足して不完全燃焼を起こし、一酸化炭素(CO)という有毒なガスを発生させます。一酸化炭素は無色無臭で毒性の強い気体です。一見して気づけるものではありません。
これを少しでも吸い込んでしまうと、頭痛、吐き気がしてきて、手足がしびれて動けなくなります。重症になると意識不明になって死にいたることもあります。
大気中の一酸化炭素濃度ppm(%) | 吸入 時間 |
血中一酸化炭素 ヘモグロビン濃度(%) |
影響 |
100ppm~200ppm (0.01~0.02%) |
― | 10~20 | 比較的に強度の筋肉労働時間呼吸促迫、時に軽い頭痛 |
200ppm~300ppm (0.02~0.03%) |
5~6時間 | 20~30 | 頭痛、耳鳴り、眼失閃光 |
300ppm~600ppm (0.03~0.06%) |
4~5時間 | 30~40 | 激しい頭痛、悪心、嘔吐、外表の鮮紅色、やがて運動機能を失う |
700ppm~1000ppm (0.07~0.10%) |
3~4時間 | 40~50 | 頻脈、呼吸数増加、やがて意識障害 |
1100ppm~1500ppm (0.11~0.15%) |
1.5~3時間 | 50~60 | チェーンストークス呼吸、間代性痙攣を伴い昏睡、意識障害、失禁 |
1600ppm~3000ppm (0.16~0.30%) |
1~1.5時間 | 60~70 | 呼吸微弱、心機能低下、血圧低下、時に死亡 |
5000ppm~10000ppm (0.50~1.00%) |
1~2分 | 70~80 | 反射低下、呼吸障害、死亡 |
車中泊においての一酸化炭素中毒
車の場合はエンジンのかけっぱなしによる排気ガスが何らかの原因で逆流または外気導入などで車内に充満してしまい、一酸化炭素中毒となってしまいます。
車中泊の場合は睡眠時の一酸化炭素中毒が特に注意が必要です。
エンジンをかけて寝てしまい、身体の異変に気付けずにそのまま死亡してしまうケースが実際にあります。
一酸化炭素中毒の対策
一酸化炭素中毒を防ぐには第一に「換気」を十分にすることです。一酸化炭素が車内に充満しない様にしましょう。
・車の窓を開ける
・草むらや雪が積もっている場所での車中泊をしない
車の窓を開けて換気をする事で目に見えない一酸化炭素を外に出します。止むを得ずエンジンをかけた状態で窓を閉めるときでも、定期的に窓を開けて換気をしましょう。
車は窓を閉めていても車内に空気が入る様に作られていますが、草むらや雪の積もった場所で車中泊をしてしまうと空気の入り口を塞いでしまい、一酸化炭素の逃げ道がなくなり結果的に中毒になってしまいます。
実際に草むらや雪がある場所で一酸化炭素中毒の事故がおきていますので、車中泊をする際の場所は慎重に選びましょうね。
エコノミー症候群の危険性
エコノミー症候群とは?
エコノミークラス症候群は、飛行機のエコノミークラスに乗っていた人が、到着後に急に具合が悪くなり、死亡するという事故が起こったことで広く知れ渡る事となりました。
食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります。
引用:厚生労働省
エコノミー症候群の症状
エコノミー症候群の症状は軽いもので片足のむくみがあります。これはすぐにわかるものもあれば、しばらくしてからわかる場合もあります。特徴として膝のうらが腫れて痛むという症状があります。
重症の場合は息が苦しくなる、胸が痛くなるといった症状が出てきます。症状が出るのは空港や機内、旅行後1週間以内と言われています。
車中泊においてのエコノミー症候群
エコノミー症候群は飛行機に乗った人だけに起こるものではありません。車に長時間乗っている人にも起こるものです。
実際に新潟中越地震の時に車で避難生活中の女性がエコノミークラス症候群によるとみられる肺塞栓(そくせん)で死亡されたという事例もあります。
エコノミー症候群は車中泊をされる方にも起こりうる症状ですので充分な注意が必要です。
エコノミー症候群の予防と対策
エコノミー症候群を防ぐには同じ姿勢でずっと車内にいない様にする事が大切です。
・1時間に1度は立ちあがって歩いたり、屈伸運動をする
・立つ事ができない場合はかかとを上げ下げして動かしましょう。
長時間座っていると血液が足のほうに溜まってきますので、姿勢を変えたり足を動かすなどの運動が必須です。
季節ごとの車中泊の危険性
車中泊のリスクは環境により異なります。季節毎のリスクを紹介したいと思います。
季節毎に対策方法も変わってきますので、リスクをしっかり認識しておきましょう。
夏の車中泊の危険性
夏の車中泊は熱中症の危険性がありますので注意が必要です。
・症状1 めまいや顔のほてり めまいや立ちくらみ
・症状2 筋肉痛や筋肉のけいれん
・症状3 頭痛・体のだるさや吐き気
・症状4 異常な汗かき又は汗が全く出ない
・症状5 体温が高い、皮膚の異常
・症状6 呼びかけに反応できない、まっすぐ歩けない
・症状7 水分補給ができない
熱中症になってしまったら、涼しい場所でゆっくり休みましょう。また、呼びかけに対する反応ができなくなってきたり、ふらついて歩けなくなっていれば病院に行くようにしましょう!
自分でドアを開ける事ができない乳幼児は絶対に車内に放置しない事です。数分でも危険です。
当然ながら大人と子供では身体が違います。大人の感覚で大丈夫だろうという判断は厳禁です!
皆さんもご存知の通り、頻繁に車内での乳幼児の死亡事故が起きています。
車中泊の際の熱中症の予防法
熱中症は事前に対策をしておく事である程度は予防できますので油断をしないようにしましょう。
・就寝前に適度にエアコンをかけて身体を冷やしておく
・エアコンがかけられない時は冷感マットなどの寒冷グッズを使用する
・周囲の安全に十分注意して窓を開け、適度に換気をする
・水分・塩分補給をしっかりする
・日頃から睡眠をしっかり取る
冬の車中泊の危険性
冬の車中泊の危険性は寒さによる様々なトラブルがあります。
就寝時、夜から明け方にかけては外が大変冷えます。
エンジンをかけっぱなしにできない事もありますのでしっかりとした防寒対策をしてください。風邪などの体調不良なども考えられますので、しっかり体調管理をしましょう。
・厚着をしてしっかり防寒する
・防寒グッズを利用する
・寝袋や毛布などの利用は必須
・就寝前に車内をエアコンで温めておく
・雪が積もっている場所、積もりそうな場所は避ける
車中泊をする場所にもよりますが、雪が多く降る地域では積雪による車内への空気の循環が不十分になり一酸化炭素中毒の原因にもなりますので、場所選びも重要です。
春、秋の車中泊
春、秋は比較的過ごしやすい事もあり、車中泊もリスクは減ると考えられます。ただし、梅雨の時期は湿度が高くなるなど不快な環境となりますので、対策は必要です。
また、季節の変わり目は暑さや寒さの対策も必要になってきますので、夏・冬の対策方法を参考にしてください。
過ごしやすい季節になりますが、車中泊は特別な環境でもありますので、油断はしないようにしてくださいな。
車中泊の危険性のまとめ
車中泊は今では移動しながらキャンプを行うような感覚で楽しんでいる方も多くいます。
マナーをしっかり守れば各地で素敵な体験ができたり、旅の費用を抑えられたりと良い事もいっぱいあります。
ただ、身体に関わるリスクが付いてくるということを忘れてはいけません。
この記事では車中泊の危険性という事でネガティブな話が多いものとなりましたが、大切なことではありますので認識しておくのは良いと思います。
皆様がトラブルに巻き込まれることなく、安全な車中泊を楽しんで頂ければと思います